脳のための
ホーム脳ドクター
”ためになるお話”
FMりべーる 毎週火曜日 8:25~ 放送中
御挨拶
「ホーム脳ドクター」のページに訪れていただき有難うございます。
脳の病気というと「こわい」と感じる人が多いでしょう。もちろん、そのような病気もあります。
でも、もっとも「こわい」のは「知らない」ことです。
「ホーム脳ドクター」では、脳の病気を初めての方でもわかるように平易に解説しています。筆者は脳神経外科のほぼすべての領域を経験し、臨床、教育活動、学術活動をおこなってきました。
少し簡単すぎるのではないかと、お叱りを受けるかもしれません。
でも、この「ホーム脳ドクター」がきっかけとなり、一般の方々にも脳の健康について考えて頂く良い機会となれば幸いです。
社会医療法人 元生会 森山病院脳神経外科
安栄良悟
脳腫瘍の手術について
”ホーム脳ドクター” 安栄良悟
頭の中にできる腫瘍は100種類以上あります。ここでは大きく2種類にわけてみます。
<頭の中にあるけど脳の外側にある腫瘍>
良性のものが多いです。でも脳は頭蓋骨というかたい殻の中に納まっています。
そのまま腫瘍が大きくなると脳は「おしくらまんじゅう」のように圧迫されます。
例)耳の神経を包む皮から発生した腫瘍。
近くにある小脳をぐいぐい圧迫しています。
小脳は体のバランスを保つ機能があります。体のバランスがとれなくなると歩けなくなってきます。
近くには顔を動かす神経も走っています。そのうち顔も曲がってきます。
顔の神経を温存しながら腫瘍をとります。顔は曲がらず、歩けるようになりました。
例)血液のたまっているところ(海綿静脈洞)から発生した腫瘍。すぐ近くに目を動かす神経がいくつか走っています。
すぐ近くに大きな動脈も走っています。そのまま大きくなると大きな血管も目を動かす神経も巻き込んでしまいます。
腫瘍の中にはたくさんの血液が入り込んでいます。しっかり止血しながら取り除きます。
<頭の中にあって、しかも脳の中にある腫瘍>
完全に良性のものは少なく、程度に差はあっても悪性傾向を示すことが多いです。
手術後に化学療法や放射線療法が必要になることもあります。
例)体の中の癌(肺癌や乳癌など)が脳に転移した腫瘍。
もともとの癌の状態や全身状態によって治療法を選びます。放射線療法や化学療法を行うこともあります。
摘出可能なものは手術で取り除きます。
例)原発性の脳の腫瘍
正常な脳の中を境目なく、しみ込んでいきます。肉眼的には見分けがつきにくい腫瘍です。
ナビゲーションをつかって目印の杭をうちます。
特殊な光を使って腫瘍を赤く光らせます。肉眼ではわからない腫瘍が見えてきます。
抗がん剤のしみ込んだシートを張り付けます。さらにしみ込んだ腫瘍細胞を制御します。手術後も化学療法や放射線療法が必要になります。
脳腫瘍の手術について
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
耳の神経から発生した腫瘍
耳の神経を包む皮から発生した腫瘍です
小脳を「おしくらまんじゅう」の様にぐいぐい圧迫しています
小脳は体のバランスを保つ機能があります
体のバランスがとれなくなると歩けなくなってきます
近くには顔を動かす神経も走っています
そのうち顔も曲がってきます
顔の神経を温存しながら腫瘍をとります。顔は曲がらず、歩けるようになりました。
海綿静脈洞から発生した腫瘍
すぐ近くに目を動かす神経がいくつか走っています。
すぐ近くに大きな動脈も走っています。
そのまま大きくなると大きな血管も目を動かす神経も巻き込んでしまいます。
腫瘍の中にはたくさんの血液が入り込んでいます
しっかり止血しながら取り除きます
脳を包む膜から発生した腫瘍(髄膜腫)
多くは良性です。取り除いてしまえば完治することが多いです
頭蓋骨の中で脳を圧迫しています
足首が動かなくて来院しました
全部取ると足首は動くようになりました
癌が脳に転移した腫瘍
もともとの癌の状態や全身状態によって治療法を選びます
放射線療法や化学療法を行うこともあります
摘出可能なものは手術で取り除きます
脳の中に発生する原発性腫瘍(神経膠腫)
正常な脳の中を境目なく、しみ込んでいきます
肉眼的には見分けがつきにくい腫瘍です
ナビゲーションをつかって目印の杭をうちます。
特殊な光を使って腫瘍を赤く光らせます。肉眼ではわからない腫瘍が見えてきます。
抗がん剤のしみ込んだシートを張り付けます。
さらにしみ込んだ腫瘍細胞を制御します。
手術後も化学療法や放射線療法が必要になります。
くも膜下出血の手術について
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
くも膜下出血のほとんどは、脳の血管のコブ(動脈瘤)の破裂が原因です。
突然の頭痛、意識障害、時にはそのまま命を失うこともある危険な病気です。
再破裂を防ぐために、緊急で開頭手術を行うことがあります。
コブ(動脈瘤)の根元をクリップで挟んで、もう破裂しないようにします。
手術後、2週間くらいは色々な反応がおきますので集中治療が必要です。
脳梗塞の手術について
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
大きな脳梗塞をおこすと、どんどん腫れてきます
どんどん腫れてくると、頭の中の圧力がどんどん上がります
頭の中の圧力がどんどん上がると、脳が圧迫されて命にかかわります
緊急で頭の骨を外して、圧力を外に逃がす手術をすることがあります
一か月くらいで腫れは引けてきます
腫れが十分引いてから、頭の骨を戻します
慢性硬膜下血腫の手術について
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
頭をぶつけてから一月後位かけて
じわじわと脳と骨の間に血がたまることがあります
脳を圧迫して、頭が痛くなる、歩けなくなる
時には息が止まって危険なことになる
頭に10円玉くらいの穴をあけて血液を洗い流してしまいます
脳の訪問診療について
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
いろいろな事情で、通院するのが難しくなった患者さん
訪問看護事業部が、ご自宅にお伺いします
於)森山病院脳神経外科・訪問看護事業部
必要に応じて当院救急車が自宅まで向かいます
・自宅で神経の診察をします
・自宅で採血、自宅で点滴をします
・画像検査等が必要な時には来院もしくは短期入院していただきます
急性硬膜下血種の手術について
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
交通事故などで頭を強く打った場合
頭の中に大出血を起こすことがあります
緊急手術で頭の中の血液を取り除くこともあります
急いで開頭して血種をとり除きます
破裂していない動脈瘤
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
動脈瘤が破裂すると、くも膜下出血になります
くも膜下出血は即命に係わる危険な病気です
破裂する前に動脈瘤が見つかった時、予防的にクリップすることもあります
破裂していない動脈瘤でも、先端が真っ赤で今にも破裂しそうなことがあります
危険なめまい(小脳)
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
めまいの中には「危険なめまい」があります
ほとんどは危険性のないめまいです
でも頭の後ろにある小さい脳「小脳」に病気がある時は危険です
時には意識や呼吸が悪くなり、命に危険を及ぼすことがあります
脳に埋まっている腫瘍
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
脳の中に埋もれている腫瘍は開頭しても表面からは見えません
そこでナビゲーションシステムで位置を確認
そして特殊な光をあてて腫瘍を見つけ出します
肉眼ではわからない腫瘍を摘出します
脳の神経を温存
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
脳の中にはたくさんの神経が走っています
特に大切なのは「手足を動かす神経」と「言葉の神経」です
それぞれの神経を大切に温存して病変を取り除きます
危険な「くびすじ」の痛み
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
くびの後ろ、「くびすじ」の突然の激痛は時に危険なことがあります
椎骨動脈は、くびの骨の穴を通り頭の中へとつづきます
この椎骨動脈が裂けると、激しい痛みをおこします
外側に裂けると、血管が破綻してくも膜下出血になります。即命に危険を及ぼします
内側に裂けると、重篤な脳梗塞の原因となります。
安静、薬、手術、血管内手術・・・状況によって対応は異なります
突然の「くびすじ」の痛み、ずっと持続して治らない、こんな時は検査しましょう
回復の早い神経線維
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
神経線維の中には比較的回復の早い線維があります
脳梗塞になってもあきらめないで治療とリハビリを行いましょう
上の図は「言葉の神経線維」です。
当院では神経線維を評価し、治療とリハビリに役立てています。
脳の奥までしみ込んだ腫瘍
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
脳の中にできる腫瘍は深く奥までしみ込むことがあります
全部とってしまうと術後に障害がでてしまいます
運動神経などの大事な神経を温存してできるだけとります
さらにしみ込んだ腫瘍は放射線療法や化学療法でおさえます
ぎりぎりまで腫瘍をとって大切な神経を温存します
脳出血の手術
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
脳出血は危険な病気です
高血圧の管理には日ごろから気を付けましょう
時にそのまま命を失います
命を失わなくても重度の障害を残すことがあります
救命のために手術を行うこともあります。できるだけ神経を温存します
脳出血にならないよう、特に高血圧には気を付けましょう
狭い場所にできた腫瘍
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
頭の中には後頭蓋窩といって狭い場所あります
そこには生命の中枢である脳幹や小脳があります
そんな狭い場所に腫瘍ができると、例え良性であっても危険です
大きくなれば脳幹をグイグイ押しつぶし、呼吸が止まってしまうことがあります
時々、切迫してから受診される方がいらっしゃいます。
脳ドックを受けてみましょう
高次脳機能の温存
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
手足を動かすことや、会話をすることの他に
高次脳機能といって読んだり、書いたり
迷子にならなかったり、道具を手順よく上手に使ったりする機能があります
その機能領域の近くに腫瘍ができてしまった場合には、できるだけ温存します
神経線維の隙間の腫瘍
「ホーム脳ドクター」
安栄良悟
於)森山病院脳神経外科
脳にはたくさんの神経線維が走行しています
高速道路の分岐点のように交叉しています
脳の奥にある腫瘍は、神経線維の隙間から摘出します